「ディスタービア」
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センセイの鞄 (文春文庫) 著者:川上 弘美 |
オススメ度★★★★☆
居酒屋で偶然にも再会したかつての高校の先生とその生徒ツキコ。二人で酒を飲み語り合う時間がゆっくりと流れる。キノコ狩りに行ったり、お花見、そして二人だけの旅行。それぞれの心の中でお互いの存在を少しづつ成長させながら。。。そんな日々を描いた谷崎純一朗受賞作品。
川上弘美の作品は初めて読む。名作(と評判の)「博士の愛した数式」も持ってはいるのだが、後に買った本書を読むのが先になってしまった。。。
基本的には居酒屋を中心として話は進んでいく。酒を飲みながらの二人の何気ないやり取りがほのぼのとしたいい雰囲気を醸し出している。ツキコの先生を呼ぶ時の「センセイ」というセリフが、親しみを含んだ暖かいものとしてこちらの気持ちを和ませてくれる。
連絡を取り合うわけでもなく自然と出会い、酒を飲む。なんて自由な束縛のない関係なのだろうか。きっと昔は皆こうだったのだろう。
時間をかけながら徐々に二人はかけがえのない存在となっていく。ツキコがたまに見せるセンセイへの思いが、まるで子供が親に一人にしないでと泣いているようで彼女の寂しさが伝わってくる。年の差もあるし、最初、読んでいるときは親子みたいだなって思ったけど、二人は表に出すまいとしながらも男と女として惹かれあっていく。ゆっくりとした暖かいラブストーリーだ。
ずっと一定のリズムで描かれる二人の世界は、とても和やかだ。特別な出来事があるわけでもなく、波瀾を迎えるわけでもない。それでも二人の物語は続いていく。ラストもゆったりとした、それでいて涙が自然と出てきてしまうような終わり方だった。いい本です。。。
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夜は短し歩けよ乙女 (角川文庫) 著者:森見 登美彦 |
オススメ度★★★★☆
ついに文庫化!単行本の時からずっと気になってたんだよね、この本。森見登美彦の本はこれが二冊目です。
クラブの後輩である「黒髪の乙女」に恋心を寄せる「先輩」。彼女の行く先々に出没し、偶然を装ってお近づきになろうとするのだが、なかなかうまくいかない。そんな二人を待ち受ける珍事件と個性的な人たち。いったい二人はどうなるのか。
見事な恋愛ファンタジーだね。とにかく登場人物が個性豊か過ぎ。自称天狗の樋口くん、大酒のみの羽貫さんや願いがかなうまでパンツを変えないパンツ総番長、まか不思議な三階建ての電車に住む李白などなど。そして「黒髪の乙女」の後ろ姿の世界的権威である、と自称している「先輩」。世界的権威って!(笑)言い方変えたらストーカーなのだが。。。
乙女のために体を張る「先輩」の頑張りには頭が下がるような、下がらないような。時には激辛鍋に耐え、時には学園祭の演劇の主役をかっぱらう。でも、なかなか最後のひと押しが出来ない。「ただ通りかかっただけだから」とクールに決めてしまう彼。嫌いになれるわけがないわ!!
「黒髪の乙女」さんも素直なとにかくいい子。というか天然!?面白いをオモチロイと言ってしまうところとかとてもかわいらしかったし、鯉を背負って片手にダルマ、首からはダルマの首飾り、でちょこんと立ってたらそらかわいいよ!
特に第三章の学園祭が一番面白かったな。普通じゃ考えられない出し物の連続で!(まあファンタジーだからね)。ゾウのお尻の模型を作ってたり、パン派かごはん派かに分かれて議論しておまけにデモ後進しちゃったり、神出鬼没なコタツにゲリラ公演を繰り返す劇団。そこに学園祭事務局が絡んできて、はっちゃかめっちゃかな学園祭が繰り広げられていく。そんな中を「黒髪の乙女」と「先輩」がどんどん予期せぬ方向に流されていくのがリズム良く描かれていてすごくよかった。
「黒髪の乙女」と「先輩」が交互に語っていくように書かれているところや、話の展開もバランスよくて読みやすい。よくこれだけ個性的な面々をまとめ上げたな~。いやー面白い!
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久々にタワレコに行ったらびっくり。お気に入りのアーティストのニューアルバムがたくさん出てるじゃないですか!!アンソニー・ハミルトンのアルバムとも迷ったんだけど、やっぱこの方にはかなわない。
最初に(12)radioを聞いた時は、「え、マジ・・・?musiqじゃねー!!」と思ったけど、他の曲を聞いて安心した。
(1)baskagainからホントかっこいい!(3)ifuleaveはなんとmary j.blijeをフィーチャリングしたバラード。2人とも好きだから個人的にかなりテンション上がった。後半の二人の掛け合いは最高だね♪
(9)someoneも落ち着いた感じで聞き心地がいい。反面ダミアン・マ―リーを迎えた(10)iwannabeはレゲェのリズムを取り入れつつ、かなり軽快なノリの曲に仕上がってる。と、聞き込んでいくと(12)radioもいい感じに聞き慣れてきて。。。このアルバム、ずっとリピートして聞いていたい。さすがだぜmusiq!!
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大学のゼミの卒論を書いた。
かなり大変だったけどね。
それで、まあ、ゼミの先生とは仲も良く、飲み会とかも毎回楽しいのだが。
そんな先生ならきっと単位は貰えるだろうが、卒論の内容には不安を覚える。
てか、資料が集まりませんよ先生・・・。
なんとか完成はしたものの~これだけじゃな。。。
と思った私は、「あとがき」をがんばることにした。
「あとがき」は今までのゼミでのこととか学生生活のことを書いちゃっくださいって言われてたから、その通り書きました。
で、思ったのが。
「あとがき」ではあるが、
(笑)←って使っていいものかね?
卒論という神聖なものに!
あ、自分は(笑)を「あとがき」に6個くらい使いました。
ちなみに完成した卒論は、国会議事堂の図書館みたいなところに保管されるそうです。
俺の(笑)も国会に保管されるということか。。。
ぜひ笑いのある日本になってもらいたいものだ。
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涙そうそう (幻冬舎文庫) 著者:吉田 紀子,吉田 雄生 |
オススメ度★★★
別々に暮らしていた洋太郎と、血のつながらない妹のカオル。カオルの高校進学と共に同居することになる。一緒に暮らしていくうちに洋太郎は自分の中にある妹への特別な気持ちに気付いていく。
う~ん。。。もろに泣かせにきてる本だね、あきらかに。世界の中心で愛を叫ぶを読んだ時と同じような「・・・」って感じの話。世界の中心~があまり好きではない人は読んでも面白くないと思う。
もともと妻夫木が結構好きな俳優で、映画のほうを見ようかなって思っていたんだが、機会がなくて本のほうを読んでみようってことで読んでみたんだけど~。
シンプルっていうかわかりやすい。でもってお兄ちゃん簡単に死にすぎ^^:っていう感想でした。多分、映画をもとにして書かれた本だから期待してはいけないのかもしれないけど。。。暇つぶしにはなるかな。でもこの話のままなら、映画を見る気は今のところない。
沖縄も好きなんだけどな・・・ただカオルの洋一郎を呼ぶ時の「ニィニィ」ってのは可愛かった(笑)
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メリーゴーランド (新潮文庫) 著者:荻原 浩 |
オススメ度★★★★
はて、最後にメリーゴーランドに乗ったのはいつだっただろうか。小さいころに親に連れて行ってもらったディズニーだったかな?いつからか興味をなくし、自分の中でその存在は小さなものになっていったな。
この本のテーマパークも、人々がその存在を忘れ去ろうとしていた。そんな時、過労死続出の職場を逃れ、田園都市の市役所に勤務している啓一は、ある日、潰れかけたそのテーマパークを再建する仕事を任される。
のんびり構えるゆるい感じ。でも公務員てほんとにこんな感じなの?サラリーマンの人が読んだら怒りそうだ。。。なんてことを思っていたけど、いらん心配だったね^^物語が進むにつれ、やる気を出して、人々をまとめ上げていこうとするところはすごく好感が持ててよかった。
他の荻原浩の作品同様に話がテンポ良く進んでいき、毎度のことながらとても読みやすい本だった。読後感も気分よく、楽しめる一冊。
やっぱり必死にテーマパークを変えようと奮闘する啓一の姿はかっこよかったな~。
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残虐記 (新潮文庫) 著者:桐野 夏生 |
オススメ度★★★★☆
タイトルからしてなんか異様な雰囲気を出してる。「残虐記」って、ずいぶん思い切ったタイトルをつけるもんだ。
自分は過去に少女誘拐監禁事件の被害者だったという手記を残して作家が消えた。その手記には被害者の少女と犯人であるケンジの異様な生活がつづられていた。二人だけの生活には何があったのか。
少女期の誘拐事件という題材がまず際立っていて、読み始めは結構えぐい話なのかなって読んでたけど、思ったほどではなかった。ただ、とにかく異様な緊張感に満ちたものだっていうのが素直な感想。異様で重苦しい空気を吐き出しているようだ。
誘拐犯であるケンジを理解することは難しい。だって誘拐、それも相手が少女となると当然普通じゃない。そして、誘拐された側の少女が理解することは不可能に近いだろう。しかし、少女は時間をかけて男の心情を想像し物語を作り上げていった。想像が感情というものを育てるのだろうか。普段意識した事はないが、想像することで楽しくも悲しくも怖くもなる。少女はケンジに特別な思いを抱く。その感情は、ときにはケンジを唯一の理解者であると思ってしまうほどの、不安定な心は読んでいてスリリングでもあり、異様でもあった。
この手記を残し、作家は姿を消してしまう。いったいどこに行ったのかは最後まで謎である。しかし、彼女の心にケンジという存在が少女期からずっとあった、ということは・・・と、この先はご想像にお任せしますってことかな。
ただ、実際に同じような事件が起こってる中、あえてこのような事件を小説の題材としたことに関しては、批判のようなものもあると思う。
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魔王 (講談社文庫) 著者:伊坂 幸太郎 |
オススメ度★★★★☆
はい、「魔王」です。大野君が出てたドラマの「魔王」とは違うのであしからず。。。買った理由は単純です。「魔王」って強そうじゃないですか。なので買いました(笑)
会社員の安藤は弟の純也と二人暮らしをしている。ある時、自分の念じた言葉を相手が口に出すという能力があることに気づき、一人の男に近づいていく。
自分の念じた言葉を相手が必ず口に出す。いや、めっちゃほしい超能力だ(?)!そうすれば、あんなこともこんなことも・・・。あ、いたずらには使いません、たぶん(笑)なんで彼にそんな力が備わったのか、ということは書かれてはいない。しかし、その力を何かのために使わなくてはと思った安藤は周囲の人たちの雰囲気に違和感を覚え始める。
その時期に首相となったのは犬養という人間だった。ズバズバと物を言い、大衆の支持を集めていくその男に、安藤は危機感を持つ。
自分たちはいとも簡単に統一されてしまう。ファシズム(本書では「統一していること」との意味と書かれている)。この言葉を聞いてまず思い浮かべるのが第二次世界大戦のナチス政権、ヒトラーであろう。彼は行ったのは、簡単にいえば独裁政治。安藤は犬養首相が行おうとしていることは独裁政治だと思ったのだろう。そして、周りに流されることの恐ろしさを知る。彼はこう思う、「魔王がいる」。
安藤の能力を知り、危険人物かと思ったのか、彼は命を狙われる。それでも彼は、犬養をどうにかしようと立ち上がるのだが・・・。
一つにまとめられることの恐ろしさ、それに気づき必死に止めようとする安藤。やはり、自分たちは、一人一人、自らの考えを持つことの必要性があるのだろう。国民が一つの考えに統一された時、そこに個人という概念はあるのか。ファシズムが国を支配したら、それこそ戦争なんてすぐに起こるんじゃないか。国民よ流されるな!!そんなことを考えさせられるとともに、伊坂幸太郎お得意のエンターテイメント性もあり、読み応えがあってよかった。
続編でもある「モダンタイムズ」は「魔王」の世界から50年後の日本を描いているらしい。早く読みたいものだ。
同時収録の「呼吸」では、その5年後の世界が描かれている。おそらく「モダンタイムズ」に関わってくるのはこちらの話の方が強いだろう。兄同様に不思議な力を手に入れた、弟の純也。その力をどのように使うのか。日本はどこに向かおうとしているのか。
これを書いてたら、無性に「モダンタイムズ」が読みたくなってきた。
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