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2007年5月

「オロロ畑でつかまえて」荻原浩

オロロ畑でつかまえて オロロ畑でつかまえて

著者:荻原 浩
販売元:集英社
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おすすめ度★★★★

荻原浩のデビュー作となった本作。その後に出された作品に通じるものがあり、この本が原点なんだなーって思った。そして、やっぱりこの人の本は読みやすい。

人口わずか三百人の山奥の村、牛穴村。主な産物はカンピョウ、ヘラチョンペ、オロロ豆。そんな村が倒産寸前のプロダクション、ユニバーサル広告社と手を組んで村おこしを画策。無茶苦茶な村おこし大作戦が始まった・・・

っと、こんなストーリーなんだけど、久しぶりにユーモア作品を読んだせいか本のところどころにちりばめられているお笑いポイントに、たまらず吹いてしまったことが何回も・・・で、やはり荻原浩はユーモア作家なんだなって再確認。(もちろんユーモアだけじゃないけど)牛穴村の人々をユニバーサル広告社の人が無茶苦茶な言葉で説得して、しまいにゃLOVEだ何だと言い出したのには電車の中で堪えきれず一人笑い。牛穴村のキッツーイ方言と東京弁のコラボレーションは最高でした。

村おこしをしていく上で倒産寸前の広告社が考え出した無茶苦茶なことを無茶を承知でやっちゃうとことか、なんかもう呆れるを通り越してほほえましくなってくる。結果的に思わぬ副産物(?)みたいなのも出てきたりして面白かった。

ちなみにこの本でツボだった言葉、「できちゃう前にできること」。

意味わかんないかもしれないけど読んでみたらすぐにわかります。ホントくだらないから。笑

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「たそがれ清兵衛」藤沢周平

たそがれ清兵衛 たそがれ清兵衛

著者:藤沢 周平
販売元:新潮社
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おすすめ度★★★★★

もともと時代小説をあまり読もうと思ってなかった自分が「たそがれ清兵衛」を読んだきっかけは、友達に半ば強引に本を渡されたからであるが、今は感謝しています。ありがとう僕の友達。

下城の鐘がなるといそいそと家路を急ぐ表題作の「たそがれ清兵衛」、とことん上役にゴマをする「ごますり甚内」、すんごい無口な「だんまり弥助」、物乞いのような身なりの「祝い人助八」など全八編からなる短編集。

タイトルを見て「あ~」と思う人がほとんどだと思うけど、「たそがれ清兵衛」はご存知の通り真田広之主演で映画化されています。観たけど結構面白いのでオススメ!

で、本の方はと言うとヒットです。こりゃあ面白い!どの話も、一見変わった男達が主人公で、普段はそれほどカッコいいわけではないんだけど、時たま見せる一瞬の輝きみたいなものに、もうやられます。どの男も己の気持ちにまっすぐで、そんな様がとてもカッコよっかった!特に個人的には、「うらなり与右衛門」は、最後、切り合いにもっていくやり方にニヤリとさせられてお気に入り。

それと「たそがれ清兵衛」と「祝い人助八」。映画を見た人は「あっ」と思うだろう。自分も「たそがれ清兵衛」だけが映画の原作になっていると思っていたけど、実はこの二作から作られていることを発見。「祝い人助八」のほうが映画には近いけど、この話も映画とか関係なしに面白い。ストーリー的には一番よかった。

自分は映画を見てからこの本を読んだけど、本を読んでから映画を観たらもっと楽しめるんじゃないかと思う。癖のある侍達が待っています。とにかく薦めてくれた友達に感謝。。。

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「空中庭園」角田光代

空中庭園 空中庭園

著者:角田 光代
販売元:文藝春秋
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おすすめ度★★★★

郊外に住んでいる京橋家のモットーは「何事もつつみかくさずに」。しかし本当は皆が秘密を持っている。普通の家族にある光と影。ひとりひとりの目に映る風景を描いた家族ドラマ。

一見幸せそうで、仲の良さそうな京橋家。何事も隠さずに秘密のない家族。それは理想的な家族の姿かもしれないけれど、秘密を持たない家族というものは存在しないんだなというのがこの本を読んだ感想。そして家族という人と人との繋がりは深く、同時に複雑なのだなと強く感じた。

秘密。例えば自らの過去であったり、不倫であったり、自分の本当の気持ちであったり。読んでいてもし彼らの秘密をお互いが知ったらどう思うのだろうと考えた。喜んだり怒ったり悲しんだりするんだろう。では全てをさらけ出す事がいいのか、全てを秘密のままにすべきなのか、どちらもいいとは思えない。時には真実をさらけ出し、また秘密も持って家族と共に生きていく。そのバランスがとても重要なのではないのだろうか。と、まだ二十と少ししか生きていないオイラは勝手に思った。ちなみに俺は今まで家族に秘密が多すぎたかな~とちょっと反省。

本の一節に「家族それぞれが身内の侵入を防ぐドアを持っている」というのがあるけど、そういうのは確かに存在すると思う。家族といっても皆人間なのだから知られたくない事もあって当然だよ。少しの秘密はね。

そういえば家族なのにお互い知らないことが多いな・・・なんて自分の家族のこと、また家族という関係について再度考えさせられる作品だった。

あと本に出てくる「ラブホテル野猿」はないわ~。実際あったら爆笑だよ笑。それと、お父さんが愛人と会ってる時の話し方はちとキモかった。もしあれが自分の父親だったら心が折れるよ。。。

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「レキオス」池上永一

レキオス レキオス

著者:池上 永一
販売元:角川書店
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おすすめ度★★★★★

舞台は西暦2000年の沖縄。その沖縄の空に突如巨大な魔方陣が出現する。1000年の時を経て蘇る伝説の地霊レキオスをめぐり、米軍やCIA、秘密結社、はたまた女子高生から変態科学者までが入り乱れていくうちに封印は解かれ・・・

とまあ、あらすじだけ見たらなにこれファンタジー??って感じだけど、ノリノリなSFミステリーファンタジー(?)です。そう、ノリノリなんです。まず登場人物がみんな個性強すぎ。主人公の混血の女子高生デニス、に憑りついた逆さの女霊チルー、超がつくほどの変態人類学者のサマンサ、トリプルアクセルをらくらく飛んでしまう占いのユタのばあさんなどなど、癖のあるキャラクターがやりたい放題やっている感じ。

特に超ド変態のサマンサ。シスター、ナースなどコスプレしまくりで奇抜なファッションと突飛な行動で周囲の人間達を皆、手の上で転がしている。ちなみに超美人。そんな彼女の強烈さが物語に更なる勢いを与えていて、サマンサが登場するたんびに「来たかサマンサ!」と心の中で叫んだものです。

始めのほうは何がどうなっているのかさっぱりで、いろんなトコに話が飛んでしまうから頭が混乱したけど、読み進めていくうちにひとつの話にまとまっていき、ページをめくる手も止まらなくなっていき・・・ハマッてしまいます。笑

レキオスの復活する中、受け継いだ霊的パワー「セジ」を使ってデニスたちは窮地を脱することが出来るのか!?そこにまたいらんな人たちがちょこちょこ絡んでいく。ハラハラワクワクしながら読んでた。

なんか途中で過去の歴史が変わってまったく違う世界になったり、時空を飛び越えて物語がつながったりで、はちゃめちゃなんだけど、テンポよく進んでいってラストにはすっきりと終わらせてくれる。こういうジャンルの本はあまり読まないけど、この本はかなり面白いし現実逃避したい人には特にいいかも。。。

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「容疑者Xの献身」東野圭吾

容疑者Xの献身 容疑者Xの献身

著者:東野 圭吾
販売元:文藝春秋
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おすすめ度★★★★★★

いやあ面白かった!やっぱミステリーは東野圭吾だわって!なんかテンション上がってるけど・・・笑。でもそんな作品です。

天才数学者であり、さえない高校教師をしている石神はある日隣室に住む花岡靖子が別れた夫を殺してしまったことに気づく。警察を欺き、彼女を守るため石神は様々な策略を練り、完全犯罪を目論む。運命を感じさせるほどの深い愛情に出会った男の命がけの純愛ミステリー。

ちなみに「献身」とは「自分の身を捧げて、ある物事や人に尽くすこと」だそう。読んだあとに意味を知ったけど・・・ホントまさにこの天才数学者は彼女のために献身している。

物語には、石神の大学時代の同窓生でありライバルの天才物理学者である湯川学が登場する。警察に協力し、石神の策略とそれを見破ろうとする湯川学の攻防戦が緊張感をもって描かれており、とても面白かった。特に自分は石神を応援しちゃってたので、湯川学が確信に近づくたびに「あーくそー石神頑張れ!」なんて思ってしまっていたけれど、笑。だが、湯川学こそが石神の一番の理解者でもあった。石神を一人の人間として接する姿にヒューマンドラマの要素もあった。

石神が彼女を守るために犯した本当の真実が明らかになったときは「あーやられた!」って感じ!そして、その真実の根元にあるとてつもなく大きな愛情に感動させられた。そこまでして人を愛することが出来るのか!と、ラストは驚きと共に涙を流してしまった。まさにこれ以上ない「献身」でした。

素晴らしい作品だと思います。また、直木賞に選ばれたのも納得といった感じの作品。ただのミステリーではありません。

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「オーデュポンの祈り」伊坂幸太郎

オーデュボンの祈り オーデュボンの祈り

著者:伊坂 幸太郎
販売元:新潮社
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おすすめ度★★★★

伊坂幸太郎のデビュー作で一気に彼の虜になってしまった作品。はじめはタイトルからして重々しい雰囲気だなぁって思っていたけどそんなことはありません。かなりファンタジックな設定に最初は驚きました。

物語は、コンビに強盗に失敗し逃走していた伊藤が、気がつくと見知らぬ島にいるところから始まる。江戸以降外界から遮断されている荻島。そこには奇妙な人々が住んでいた。嘘しか言わない画家、殺人を許された男、未来が見えるしゃべるカカシ。翌日カカシが殺される。未来を見通せるはずのカカシはなぜ自分の死を阻止できなかったのか・・・

とにかくユニークなキャラクター達がこの本の独特の雰囲気を作り出している、なんていうか不思議な感じをもった本だなぁって。まあ普通に考えたらありえない人々としゃべるカカシだからね。なんか不思議の国に迷い込んだ気分に。でもそんなありえない島の話が読んでいてすごく面白かった。

カカシが殺され、その謎を追っていくうちに明らかになっていく事実が組み合わさっていき、ひとつの真実にたどり着いていく様は見事。嘘しか言わない画家の秘密を知ったときはちょっと切なくなった。                                                                            

また伊東のことを昔から知っている男、城山。刑事なんだけど、こいつかなり嫌な奴!読んでてこの野郎~って思って読んでたけど、ラストの展開は面白かった。ていうかいい気味だって気分。そして島が欠けていたものを手に入れたとき、この先この島の人々は笑って生きていけるんだろうな~って思った。

ファンタジーなミステリーって感じ。この本を読んでわかったこと。伊坂幸太郎の本はやっぱり面白い!

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「トリツカレ男」いしいしんじ

トリツカレ男 トリツカレ男

著者:いしい しんじ
販売元:新潮社
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おすすめ度★★★★

この本タイトルからして惹かれてしまう。だってトリツカレ男だよ!?なんだそりゃって感じで興味津々。しかも安いし150ページほどしかなくてとてもお手軽に読める本です。ちょっとした合間に読んでいたらあっという間に読めてしまう。

内容は、何かに夢中になるとそれしか見えなくなってしまうジョゼッペ。あだ名はトリツカレ男。そんな彼が寒い国からやってきた風船売りのペチカに恋をしてしまいます。あらゆる事をして彼女の心を暖めようとするジョゼッペだが・・・

とりあえずこの男、トリツカレまくってます。ある時はオペラ、ある時は三段跳び、またある時はサングラス集め、昆虫採集、外国語・・・とあらゆるものトリツカレている。しかも、みんな極めていっちゃうんだから!なんかトムハンクス主演の映画フォレストガンプをちょっと思い出した。あの映画はほんと名作だわ~でも最後ちょっと切ないよね、って映画の話はいいんだけど。笑

そんなトリツカレ男がトリツカレたのが風船売りのペチカ。彼女の心の闇を取り払うためにいろいろなことをしていくジョゼッペの純粋さに心打たれます。

でも何かに夢中になってそのことに一生懸命になるってすごいことだと思う。俺なんてすぐに飽きちゃったりするからな~でもギターとサックスは続けてやる↑↑自分も見習わなくちゃ!ジョゼッペのトリツカレかたは異常だけど。。。

物語に出てくる話しの出来るハツカネヅミもいい奴で、ジョゼッペのことを本当に心配したり、怒ったりして、いいコンビ組んでるねって感じ。

最後のほうはちょっとグッとくるし、読み終えたあとは暖かい気持ちになれる、本当にあったかーいお話です。お手軽だし、ちょっと暇なときにオススメです。

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「しゃべれども しゃべれども」佐藤多佳子

しゃべれどもしゃべれども しゃべれどもしゃべれども

著者:佐藤 多佳子
販売元:新潮社
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おすすめ度★★★★★

前から読みたいと思っていたものが読めたときって言うのは気持ちがいい。それが面白い作品だったらなおさらだ。っでこの本もそんな作品だったわけで、いやあ面白かった!

男の名は今昔亭三つ葉。三度の飯より落語好き。頑固でめっぽう気が短い。そんな男の下に話し方を習いたいという男女が集まった。もどかしく不器用ながらも落語に生きる男と一筋縄では行かない人達のお話。。。

まあ正直最初はなめてかかりました。普段から着物って相当な落語マニアだな~なんて思いつつ、今どきいる?みたいな。。。いやいや落語も三つ葉もなめちゃいけません。読んでいくうちに三つ葉のまっすぐで思ったことはすぐに口に出してしまう威勢のいい姿に、こちらを気持ちよくしていってくれる。たまにしでかす間違えに笑い、落語に真剣な姿には少しカッコイイと思いつつ、不器用な恋心にはついつい頑張れと声をかけたくなってしまう。いい奴で、憎めない奴だ。で結局早々とこの本の虜に。

ひょんなきっかけから開くようになった落語教室の面々もこれまた個性的でそんな彼らの生み出す独特の(息の詰まるような?)雰囲気は面白かった。みんながみんな、何か悩みを抱えて生きている。それでもそれに立ち向かって少し元気になっていく様は読んでいてすがすがしかった。特に生意気で関西弁でまくし立ててくるが、一方で素直な小学生の村林はお気に入りのキャラに。

後半の落語の発表会では、ハラハラとした緊張感と、まあここでも笑いつつページをめくる手も自然と早くなった。ラストの場面ではずっとニヤニヤニヤニヤ・・・はたから見たらキモイけど、まー始めっからこうなるものだとわかっているものでも面白いものは面白いわけで。そしてまた笑いありと、とても面白い本だった。

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「クライマーズ・ハイ」横山秀夫

クライマーズ・ハイ クライマーズ・ハイ

著者:横山 秀夫
販売元:文藝春秋
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おすすめ度★★★★★

はじめに言っとくと正直ちょっと泣いた。そんな感動超大作って感じの作品ではないんだけど、とても心が揺すぶられる本だった。

1985年、御巣鷹山に航空機が墜落した。衝立岩登頂を予定していた地元紙の記者、悠木は全権デスクに任命される。また一方で、共に登る予定であった安西が突然倒れ、病院に搬送された。世紀の事故と人間関係の葛藤に揺れた日々とはいったい彼に何をもたらすのか。

1985年の夏に実際に起こった日航ジャンボ機墜落事故を題材に描かれた本書。この世紀の大事故に立ち向かった一週間、その間の様々な人間関係には怒りがあり悲しみがあり感動があって、とても読みごたえがあった。何より一日一日新聞が出来上がっていくさまはとても臨場感があり、新聞社の中にある勢いや、そこの人達が抱えるやりきれなさや葛藤がひしひしと伝わってきた。ここまでリアルに新聞社や記者を描く事ができたのは横山秀夫に記者の経験があるからだろう。

倒れた安西を取り巻いていた状況と新聞社の内情が絡み合い、そこから生まれた安西の息子燐太郎との関係と、一人の父親として息子とのかかわり方に苦痛し、関係を作り直そうと苦心していた悠木と家族のドラマもすがすがしく、温かい気持ちになった。最後のほうはもう本当にグッと来る。ああこの人は今幸せなんだなって。また本に出てくる「命に大きいの小さいもあるのか」という文にはとても考えさせられた。

とても面白い本だし、感動させられつつ考えさせられる本でもあった。人間ドラマとともに、この事故をリアルタイムで知らない自分のような世代にもおすすめ出来る作品だと思う。

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