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「リアルワールド」桐野夏生

リアルワールド (集英社文庫(日本)) リアルワールド (集英社文庫(日本))

著者:桐野 夏生
販売元:集英社
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オススメ度★★★★★

最近この人の本がマイブームだ。この人の作品はいつも毒々しくて、痛々しい、でもそんな作品に引き込まれてしまう。とても魅力的な作家さんだと思う。物事はひょんなことからその始まりを迎えるものだ。何かを起こすにはそれにつながる行動が必ずある。しかし、それが何を起こすかは大抵わからないものだ。今回の場合は、十四子が最初に事件直後にミミズを偶然出会ったことを隠したことが始まりだった。

物語は高校三年生のホリニンナこと山中十四子、男勝りなユウザン、頭がよくクールなテラウチ、可愛くて陽気なキラリン。ある日、山中十四子の隣家の息子が母親を殺して逃亡した。四人の女子高生はその殺人犯である、通称ミミズ、接触していく。遊び半分に彼を逃亡させようとすることが、彼女たちに取り返しのつかない終末へと向かわせる。

桐野夏生はいつも人間の本質を描こうとしているように思う。人が心の奥に秘めている思いや欲望を明らかにすることで、人とはこんなにも醜いものなのかと感じさせられる。この作品も平凡な生活に身を置く普通の女子高生の心の奥に潜むものの姿を描いている。

母親を殺して逃げ出したミミズは山中十四子の自転車と携帯電話を盗み逃亡する。そして彼女の携帯電話に入っている女子に電話をかけ他の三人と接触していく。殺人犯との電話。それは平凡な女子高生にはとても興味をそそられるちょっとした冒険だった。物珍しさ、これは人に自慢できるかも知れない、こんな貴重な体験をみすみす逃すのは惜しい。そんな思いに駆られることは、日常を生きていく中でだれしもが抱く感情であり、多かれ少なかれ皆に共通するものだと思う。彼女たちもその例外ではない。だが、その対象に対する受け入れ方は人によって違うもの。

ミミズと接触していくことによって彼女たち四人のキャラクターが一層際立っていく。ある者は逃亡を助け、ある者は行動を共にする。傍観者の立場から事件を見る者、そして真っ向からミミズに反論する者。四人それぞれの思いがそれぞれの主観から描かれる構成は物語に厚みを加え、とても読み応えがあるものにしていく。

この四人の中でもテラウチは特に印象に残った。彼女はミミズを「取り返しのつくことをした」単純な奴と批難する。では「取り返しのつかないこと」とは?それは彼女が抱えた闇であって、四人の行く末を決める決定打となった。

最後の章を読み終わって、ただ、空しい。だけど、テラウチのいう「取り返しのつかないこと」は自分には難しすぎた。恐らく、僕の思う「取り返しのつかないこと」と違うから違和感を覚えたんだな。。。

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