カテゴリー「 重松 清」の記事

「ナイフ」重松 清

ナイフ (新潮文庫) ナイフ (新潮文庫)

著者:重松 清
販売元:新潮社
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オススメ度★★★★★★

読んでいて久々に胸をギューって掴まれるような感覚になった。5つの短編が入ったこの本は結構濃い内容だった。

「ワニとハブとひょうたん池で」ある日突然、学校でハブられたミキ。でも親や先生にあれこれ心配されたくない。ミキはこれはゲームなんだと思うことで自分を保とうとする。

中学生とかって難しい年ごろ。昨日まで仲良かったのにある日突然いじめられたり、そういうのが今は昔よりひどくなってると思う。なんか群れなきゃ生きていけないの?って感じた。いじめをしてまで仲間がほしいのかって。でもそんなんで出来た友達なんて友達とは呼べないと思う。ミキの幼馴染のホナミも一緒にいじめに加わるんだけど心ではかわいそうだと思ってる。なら少しの勇気を出して真正面からいじめを止めればいいのに。

こんなのただのキレイ事かな?でももし自分がそうしていたとしても、後で絶対後悔はしないと思う。

「ナイフ」息子がいじめられている。父親は母親の心配をよそに、いじめに気付いていながらも余計な口出しはしない。弱い父親だと自分を責めながらも何もできない。そんな彼はナイフを手にする。お守りのように願う。弱い自分を奮い立たせるように。

一緒にいて守ってやる。その言葉に息子は涙する。家族の間で気持ちを伝えることがいかに大切か、不器用でもいい、伝えなきゃって思った。息子と向き合おうとする父親の姿は読んでいて辛かったけど、これが父親というものなんだろうね。

「キャッチボール日和」野球が好きな父親は息子にスター選手と同じ大輔という名前を付ける。しかし大輔は弱く引っ込み思案で父親の期待にこたえることができない。負けちゃいけないんだ、と大輔にいじめに立ち向かわせる。

父親は大輔に強く生きることを求めている。でも不器用で弱い子供はたくさんいるんだ。だから親はその弱いところも愛してあげなきゃダメなんだろうなと思う。

いいじゃん、負けこしのヒーローだって。まさにその通り。

「エビスくん」大阪の小学校にある日、体のおっきな転校生がやってきた。彼の名はエビス。彼と仲良くしてやるように先生に言われた相原くんだが、エビスくんにいじめられるようになる。そんな相原くんは病気の妹にエビスくんを連れてくると約束するのだが・・・

正直こんないじめっ子っているのかな~って思った。だったらいじめなきゃいいじゃん!って感じだけど、友情なのかわからない奇妙な関係だ。きっとエビスくんは友達がほしかったんだじゃないのだろうか。でもすごく不器用でどうやって仲良くなればいいのかわからなかったんじゃないかと。二人の間にはたしかに絆が生まれていた。読んでて爽やかだったな。

「ビタースィート・ホーム」妻に仕事を辞めさせた夫。専業主婦になった妻は娘の学校の先生の指導方針が気にくわず抗議する。そんな妻を見て、母親が家にいるのが普通の家庭だと思っていた夫は本当に仕事を辞めさせてよかったのかと悩む。

まず普通の家庭って何?世の中には共働きで子供も育てている家庭はたくさんある。それは普通の家庭じゃないとは思えない。家庭のことをするのがよぶんな物って考えが嫌だなって感じた。男だって子供の面倒も家事もするべきだと思うし、女だって働いてたっていいじゃん。夫婦二人で協力し合って家庭を支えていくことが重要なんじゃないかな。自分の人生で手放してしまったものへの寂しさはあるだろうけど、今を大切に生きなきゃって思った。

どの話も読んでて辛かったり痛々しかったりしたけど、読んでよかったって思える本だった。

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「哀愁的東京」重松 清

哀愁的東京 (角川文庫) 哀愁的東京 (角川文庫)

著者:重松 清
販売元:角川書店
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オススメ度★★★★★

重松清さんです。「ナイフ」も「エイジ」も買って家に置いてあるのに読む前についついまた新しい本を買ってしまった。それが今回の「哀愁的東京」。

新作が書けなくなった絵本作家の進藤宏はフリーライターで生計を立てている。その仕事をしていくうちに様々な人との出会いがあり、その出会いを進藤はスケッチに写していく。会社が倒産寸前の企業家、売れなくなったアイドル、心がボロボロになった昔の友人・・・出会いが作り出す連作長編。

もうね、ただよいまくり。哀愁が。本全体が寂しさに包まれていて、その寂しさを抱えた人達が続々出てきます。

でもなんかこう、一つ一つの寂しさを持った人達を優しさが包み込んでいくこともあれば、一方で寂しさに飲み込まれていく人もいる。そんな物語だと思った。そしてその人達と出会っている時、進藤宏は無意識にもフリーライターではなく絵本作家としてその一つ一つの場面に触れていて、少しづつ新しい絵本のパズルのピースを手に入れていく。

彼だけじゃないのかもしれない。自分たちも人生で人と出会って行く中で何かを少しづつ手に入れていってるんじゃないかな。それがどんな形になるのかはわからないけど、そうやって手に入れていった物ってすごく大切な物だと思う。

彼はこれからいったいどんな絵本を描くんだろう。つい長い間想像してしまった。

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「トワイライト」重松 清

トワイライト (文春文庫) トワイライト (文春文庫)

著者:重松 清
販売元:文藝春秋
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おすすめ度★★★★

重松清の本は毎回しんみりさせられる。今回の本「トワイライト」もまた、しんみりとしたいい話だった。

小学生の卒業記念に埋めたタイムカプセルを開封するために、26年ぶりに再会した同級生達。夢と希望に満ちていたあの頃と厳しい現実の中を生きている大人になった現在の自分達との間には大きな壁があった。彼らにとっての人生の幸せとは・・・

タイムカプセル。憧れるね~昔友達に「タイムカプセルでも埋めよっか?」って聞いたことがあった。まあ答えは即効で拒否されたけど(笑)トホホ~。とまあこんな話はさておき、タイムカプセルを開けることによって彼らはあの頃の自分と今の自分の変化を実感し、恥ずかしさや懐かしさなど、様々な感情が生まれてきます。

そんな中、かつてガキ大将としてジャイアンと呼ばれていた徹夫と、いつも女の子の中心にいた真理子が夫婦としてやって来る。みんなの前ではいい夫婦を演じていた二人だが実は離婚の危機が迫っていた。そんな二人と、彼らに巻き込まれるかのように、今は平和な家庭を築いている小学校の頃はのび太と呼ばれていた克也、昔から頭がよく一時は予備校の講師として一線で活躍していた淳子の生活は変化を見せていく。

いやー読んでいてなんかすごく惨めな気持ちになってきた。誰のことかというとそれはジャイアンこと徹夫。家族とうまくいかない男が強がりこそすれ、何とかこの関係を修復出来ないかともがく姿はどうしようもなく悲しくて、昔のジャイアンと呼ばれ人気者だった頃を羨み、どうしてもすがりつこうとしてしまう。それが、とても惨めでちょっと読んでてつらかった。

しかしこの四人は現在の自分の困難な状況を乗り越えて一歩前に進んでいく、大人の成長みたいなものが見れた。なんか大人の青春って感じ?(ちょっと違うか・笑)ラストもいい感じで終わってくし、重松清が好きな人も読んだことない人にもおすすめです!!

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「流星ワゴン」重松清

流星ワゴン 流星ワゴン

著者:重松 清
販売元:講談社
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おすすめ度★★★★★★

リストラされ家庭もボロボロ、死んじゃおうかな・・・って現実に絶望していた38歳の秋。男は5年前に死んでしまった親子の乗る不思議なワゴンに乗る。時空を超えていくそのワゴンにのり、男は人生のやり直しを叶えることができるのだろうか・・・

友達に勧められて借りて読んでみたこの本。進められただけあって面白かった。設定は死んだ親子が乗るワゴンが出てくるところとかファンタジーって感じだけど、それが本全体に不思議な雰囲気を出していたと思う。

てかこのワゴン、死んだ人間が乗っているだけあって霊感のある人しか出会えないのかなぁ?って物語に関係ないことをつい考えてしまったけど。笑

この物語にはもう一人チュウさんという主人公の父親が同じ38歳のころの姿で出てくる。長年わかりあうことができなかった父親と家族に対する後悔、そこにワゴンの橋本親子が絡んでくる家族愛を描いたものになっている。

主人公の現在とそこに至るまでの過去の出来事を読んでいくうちにとても切なく、つらい気持ちにさせられる。しかし、家族を再生させるには現実を受け入れていくしかない。ラストはけして最高のハッピーエンドではないが、明日への希望を抱かせる終わり方でよかった。結構ジーンとさせられるので涙もろい人は泣いてしまうかも。いい本でした。。。

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