カテゴリー「 横山秀夫」の記事

「動機」横山秀夫

動機 (文春文庫) 動機 (文春文庫)

著者:横山 秀夫
販売元:文藝春秋
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オススメ度★★★★★

この人の文章って緊張感があるよね。好きな作家さんです。今回のは四つの短編を収録したもの。

動機

警察署で保管していた30冊の警察手帳が盗まれた。誰が何のために盗んだのか。警視の貝瀬は犯人を探す。男と男のぶつかり合いと彼らの背負うもの、抱える感情が迫力のある文章とともに描かれていてとてもよかった。

逆転の夏

殺人の前科がある山本は自分の人生をやり直すために必死だった。そんな時、カサイと名乗る人物から殺人の依頼の電話が来る。報酬は5千万。この金があれば人生をやり直せるかもしれない。そんな葛藤と、保護司の及川、山本に娘を殺された父親。それぞれの思惑が絡み合って行く様は面白かった。短編とは思えないほど濃厚な話だった。

ネタ元

地方の新聞記者である真知子は男社会の中で女として扱われることに悔しさを覚える日々を送る。そんな時全国紙からの引き抜きの話が舞い込んでくる。自分はどんな記事が書きたくて貴社になったのか。昔の思いと現実のギャップにさいなまれる。

密室の人

裁判官の安西は裁判中に居眠りをしてしまい、それがもとで自分の立場が危うくなってしまう。そんな状況になって初めて知る妻の真実。彼は最後に賭けをする。この短編集の中ではラストは一番好きかも。動機も良かったけど、なんか最後になってやっと自分がずっと留まっていた場所から一歩踏み出していく感じが好きです。

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「クライマーズ・ハイ」横山秀夫

クライマーズ・ハイ クライマーズ・ハイ

著者:横山 秀夫
販売元:文藝春秋
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おすすめ度★★★★★

はじめに言っとくと正直ちょっと泣いた。そんな感動超大作って感じの作品ではないんだけど、とても心が揺すぶられる本だった。

1985年、御巣鷹山に航空機が墜落した。衝立岩登頂を予定していた地元紙の記者、悠木は全権デスクに任命される。また一方で、共に登る予定であった安西が突然倒れ、病院に搬送された。世紀の事故と人間関係の葛藤に揺れた日々とはいったい彼に何をもたらすのか。

1985年の夏に実際に起こった日航ジャンボ機墜落事故を題材に描かれた本書。この世紀の大事故に立ち向かった一週間、その間の様々な人間関係には怒りがあり悲しみがあり感動があって、とても読みごたえがあった。何より一日一日新聞が出来上がっていくさまはとても臨場感があり、新聞社の中にある勢いや、そこの人達が抱えるやりきれなさや葛藤がひしひしと伝わってきた。ここまでリアルに新聞社や記者を描く事ができたのは横山秀夫に記者の経験があるからだろう。

倒れた安西を取り巻いていた状況と新聞社の内情が絡み合い、そこから生まれた安西の息子燐太郎との関係と、一人の父親として息子とのかかわり方に苦痛し、関係を作り直そうと苦心していた悠木と家族のドラマもすがすがしく、温かい気持ちになった。最後のほうはもう本当にグッと来る。ああこの人は今幸せなんだなって。また本に出てくる「命に大きいの小さいもあるのか」という文にはとても考えさせられた。

とても面白い本だし、感動させられつつ考えさせられる本でもあった。人間ドラマとともに、この事故をリアルタイムで知らない自分のような世代にもおすすめ出来る作品だと思う。

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